(001)○に近い△を生きる 「正論」や「正解」にだまされるな (ポプラ新書) 鎌田 實 ポプラ社 2013-09-19 売り上げランキング : 1918
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内容はなかなか興味深いものでした。
世間の正論(○)に流されることなく、別解力(△)を磨くことの大事さ
筆者は東日本大震災の際に、医師として初めて福島の30キロゾーンに入った。
その時、おでんとビールを持ち込み、漁師さんを元気づけました。
被災地にビールを持っていけば、必ず非難の声が出る。阪神淡路大震災の時、アルコール依存症が多発した。だから、被災地にビールなんか持っていくのはもってのほか、という声がでても仕方ない。でもぼくは、批判を恐れなかった。精神的にまいっている漁師さんたちが、一杯だけでもビールを飲んだら元気が出るんじゃないかと思った。[中略]避難所で後片付けをして体育館を撤収しようとしてとき、漁師のおじさんの一群が立ち上がって大きな拍手をした。体育館中がつられて、拍手をした。筆者は世間の正論に流されることなく、漁師さんのためになることを自分の頭で考え、そして別解(ただの物資支援ではなくビールを持ち込むこと)を導きだしています。
私達は常日頃から、空気を読むことに縛られており、
空気である○が正しいことだと思い込んでいます。
しかし本当にそうでしょうか。
×はもちろんだめですが、
その場に応じた△という解決策があるのではないでしょうか。
例えば、混んでいる電車内において、優先席が空いていた場合。
高齢者や妊婦さん、子連れの方がいればその方に譲る。
これは当たり前でしょう。
だが、そういう方がいない場合、優先席に誰も座らない場合があります。
対象でない人が優先席に座るというのは、その場の空気上マズイからです。
しかし、電車内が混んでいる場合、
誰かが座ったほうが車内の混雑度は緩和できます。
この場合、一番望ましいのは一番近くにいる人が座ることです。
これが△です。
○ではないが、もちろん×ではない。
△という別解が正しい。
以上のような、
私が普段なんとなく思っていたことを
「○に近い△を生きる」というキャッチーなフレーズで表現した著者のセンスに脱帽しました。
以下、読書メモです。
99%自分の自由を大事にしながら、1%はいつも誰かの自由を大事にする。これが鎌田の1%理論だ。1%ならどんなに自我の強い人でもやれそうな気がする。この読書メモの最後の段落なんか、本当におもしろい考え方ですね。
○に近い△。結婚はまさに○に近い△を探すこと。完璧なパートナーを見つけられた人いるかもしれないけど、それはおそらく他人から見れば錯覚以外のなにものでもない。
○か×かの議論をするとヒステリックになって、相手を全面否定して意見がすれ違っているまんまで、最後はにせものの民主主義が多数決というやつで決めてしまいます。本当の民主主義は、○と×の間にお互いが納得できる「別解」を探すことなんです。
勉強するのは偉くなるため。これが今の「正解」かもしれないが、これでは心が躍らない。勉強するのは自由になるためと考えるのは「別解」である。
あったかな資本主義
僕達はみんな、かつてアフリカに住んでいた。そして、そのアフリカを出ようと思った僕たちの祖先がいた。好奇心が強くて、おかしな人がアフリカをでたのだ。僕たちはその末裔。所詮僕たちは、みんな変な人。ちょっと変な人とうんと変な人がいるだけ。ちょっと変な人がうんと変な人にレッテルを貼っているにすぎない。そんなレッテルなんか貼られても気にしないことだ。
ぜひおすすめ!
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