今、書店店頭でもamazonでも売れている本

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎,古賀 史健 ダイヤモンド社 2013-12-13
売り上げランキング : 5
by ヨメレバ

これは名著中の名著ですので紹介します。
本書は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊です
まず特筆すべき点は
アドラーの哲学を対話形式にすることで、抜群に読みやすくなっている点です。

青年の問いかけ・反発に対して、哲人が丁寧に解説してくれます。



アドラーの哲学は今の日本社会と相いれない点が多く、常識では納得しづらい点もあります。
しかし、理解することによって楽に生きることができます。


哲学というと難しく聞こえますので、
生き方を学べる本と思ってください。



私の心に響いた点を5つにまとめました。




1.劣等感をもつことのばかばかしさ

人は劣等感を持つと卑屈になり、物事がうまくいかないときの言い訳に使用します。
これは非常にもったいないです。自分から積極的に劣等感を感じる必要は全くありません。

価値の転換を図りましょう。

例えば、身長が低いことに劣等感を感じ、自分には魅力がないと思っている人の例(過去、私もそうでした)
大柄で屈強な男性は、それだけで相手を威圧してしまうところがあるのかもしれません。一方、小柄なわたしであれば、相手も警戒心を解いてくれる。なるほど、小柄であることは自分にとっても周囲の人にとっても、好ましいことなのだと思わされました。つまり価値の転換です。
このように他人から見れば、身長が低いことによるメリットもあります。

しかし、自分で主観的に劣等感を感じてしまい、自信を失うことは非常にもったいないことです。「優れている劣っている」というのはあくまで比較の話です。比較しなければ劣等感を感じることもありませんし、そもそも劣等感は主観的なものなので、自分で劣っていると考えなければ劣等感は発生しません。




2.承認欲求の否定

承認欲求。人は誰でも他人に認められたい、褒めてもらいたいという思いがあります。しかし、アドラー心理学ではこれを捨てるべきと主張しています。

「他者から認められ評価されることを目的に生きる=他者の期待を満たすために生きる」ことになってしまいます。それは他者の価値観に沿って、他者の人生を生きることです。それは本当にあなたが望んでいる生き方でしょうか?


また、承認欲求が強すぎて、次のようなスタイルの人もいます。
賞罰教育の先に生まれるのは「ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしない」「罰する人がいなければ、不適切な行動もとる」という、誤ったライフスタイルです。
これでは本末転倒ですね。




3.自分の課題と他者の課題の分離
あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと——あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること——によって引き起こされます
これはこの本で一番の名言です。

人はなぜ他者の課題に土足で踏み込むのでしょうか?

それは他人に口を出すことにより、他人の考え方を変えられると誤解しているからです。
しかし、人は自分を変えることはできても、他人の考え方を変えることはできません。
自分に置き換えて考えるとわかります。

あなたは他人から口出しされた結果、素直に考えを変えますか?

変えないケースが多数でしょう。

つまり、そもそも他者の課題を解決することなどできないのです。
わかりやすい例をあげると
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」
ということです。



また、他者の課題まで背負い込むことで、自分の課題を勝手に増やすことは自分を生きづらくするだけです。自分の課題だけに注力すれば、毎日が楽になります。




4.他者との競争は不要
競争の怖ろしさはここです。たとえ敗者にならずとも、たとえ勝ち続けていようとも、競争のなかに身を置いている人は心の安まる暇がない。敗者になりたくない。そして敗者にならないためには、つねに勝ち続けなければならない。他者を信じることができない。社会的成功をおさめながら幸せを実感できない人が多いのは、彼らが競争に生きているからです。
社会的な話だけでなく、人生全般として言えることです。

自分よりも他者の方がお金を持っているとか、他者の方が幸せだとか、常に比較し競争を意識すると、いつまでたっても幸せになれません。

重要なのは自分が今の自分よりも前に進むことです。
それだけで自分は過去よりも幸せになることができます。これは確実です。

他者と競争している限りは負けることがあります。また、他者は無限にいますので、競争に終わりはありません。それは恐ろしい世界です。




5.自分の価値を実感するため、他者貢献をする

人が幸せを感じるとき、それは自分の価値を実感したときです。
アドラー心理学では、そのために他者貢献をすべきと教えています。
他者貢献とは、「わたし」を捨てて誰かに尽くすことではなく、むしろ「わたし」の価値を実感するためにこそ、なされる
かなり変わった考え方ですが、真実です。

自分だけに興味を持つのでなく、他者にも興味を持ち、他者の役に立つことを始めてみましょう。結果として、承認欲求もなくなります。
ほんとうに貢献感が持てているのなら、他者からの承認はいらなくなります。わざわざ他者から認めてもらうまでもなく、「わたしは誰かの役に立っている」と実感できているのですから。
しかし、その際に他者の課題に土足で踏み込んではいけません。
強制ではなく、あくまでも課題を分離したまま、自力での解決を援助していきます。


以上。


心に刺さることがたくさん書かれたこの本。

これを読んで楽に自由に生きてみませんか?



嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎,古賀 史健 ダイヤモンド社 2013-12-13
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by ヨメレバ




また、アドラー心理学を理論立てて理解するなら、こちらもおススメです。


アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)

岸見 一郎 日本放送出版協会 2010-04
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